モウリーニョとアブラモビッチ。
衝撃の電撃解任から6年後、モウリーニョのチェルシー監督復帰にファンは湧いた。
そして今季で3年目。今季がモウリーニョのチェルシー「ラストシーズン」になる可能性がかなり高い。
我慢ができないモウリーニョとアブラモビッチは似た者同士?
モウリーニョに存在する”監督3年”のジンクスとは?
今季のチェルシー不振の原因と、これまでの2人の関係性、モウリーニョの過去を追ってみよう。
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今シーズン、チェルシーは不振にあえいでいる。
プレミアリーグで11試合を戦って、わずか3勝で15位は、去年の優勝チームの面影すらない。
不振の原因は明白で、これまで堅守を誇るチェルシーの失点数がリーグワースト5番目の22失点とはお粗末もいいところ。
なかでも、CBでキャプテンを務めるジョン・テリーの衰えは今オフを経て、目に見えて顕著に。
また、昨季まで不動の右サイドバックであったイヴァノビッチは、それまでの1対1の強さがまるでなくなり、チェルシーの”穴”として相手チームから狙われることが多くなった。
チェルシーの不振の原因は他にも。
指揮官モウリーニョが絶大な信頼を置くマティッチ”フル稼働”による疲労。アタッカーとしてチームをけん引してきた”10番”アザールの極度の不振。開幕直後のジエゴ・コスタの明らかなコンディション不足。(昨シーズンに比べて、開幕直後のジエゴ・コスタは、キレが一切なかった。この頃、やっと身体のキレを取り戻してきた感じではある)
兎にも角にも、チーム成績が悪いのは、監督のモウリーニョのせいになってしまう。
最近、そのモウリーニョも解任の危機を感じてか、メディアや審判を批判し始めた。
とは言っても、モウリーニョのこのような行動は、いまに始まったことではないが(笑)
それは、10月31日に行われたプレミアリーグ第11節、チェルシーはリバプールに1-3で敗れた。
開始早々にMFラミレスのゴールで先制したものの、リヴァプールMFコウチーニョが2得点、クリスティアン・ベンテケのダメ押しゴールによって逆転負けを喫している。
試合後、中継をした『BTスポーツ』のインタビューを受けたモウリーニョ監督は、あらゆる質問に対し「何も言うことはない」と答え、苛立ちを露わに。
「前半アディショナルタイムは2分間のはず。しかし、我々が失点したのは2分35秒だった」
コウチーニョの1点目が生まれたのは前半アディショナルタイムの47分30秒を回ってからだった。
目安は2分間のはずだったが、それ以上に伸びていたとのこと。
この試合の負けで今季6敗目。
そこで黙っていないのがアブラモビッチ氏だろう。チェルシーのオーナーである。
アブラモビッチ氏が03年7月にチェルシーのオーナーに就任して以来、チェルシーは欧州の強豪チームに名を連ねるようになった。
しかし、彼には我慢ができない。
チームの成績が悪いとすぐに監督を交代させる。
過去、モウリーニョが07-08シーズン途中で解任されてから、モウリーニョ政権2期目が誕生するまでの6シーズンで7人の監督がチェルシーのベンチに座ったことからも明らか。
その名前はそうそうたる顔ぶれで、アブラム・グラント(現ガーナ代表監督)、ルイス・フィリペ・スコラーリ(現広州恒大監督)、フース・ヒディンク(2015年6月29日にオランダ代表監督を辞任)、カルロ・アンチェロッティ(13-15レアル・マドリード監督)、アンドレ・ヴィラス・ボアス(現FCゼニト監督)、ロベルト・ディ・マティオ(2015年5月26日にシャルケ04監督を辞任)、そしてラファエル・ベニテス(現レアル・マドリード監督)の計7人。
そして、モウリーニョ。
彼もまた、アブラモビッチと同じく我慢ができない男である。
モウリーニョには”監督3年”という謎のジンクスが存在しているのは知っている人は知っているであろう。
とりあえずモウリーニョが指揮をとったチームの華麗なる功績を。彼はやはりすごい。
ポルト監督にシーズン途中より就任。
02-03シーズン3冠(プリメイラ・リーガ、タッサ・デ・ポルトガル、UEFAカップ)
03-04シーズン3冠(プリメイラ・リーガ、スーペルタッサ・カンディド・デ・オリベイラ、UEFAチャンピオンズリーグ)
ポルト監督時代、モウリーニョはUEFAカップ(現在の欧州EL)、スーペル・リーガ、ポルトガルカップの3冠を達成。ポルト監督在籍は2年半。
その後、チェルシー監督に。
04-05シーズン2冠(プレミアリーグ、カーリングカップ)
05-06シーズン2冠(プレミアリーグ、FAコミュニティ・シールド)
06-07シーズン2冠(FAカップ、カーリングカップ)
DFの補強を要求するモウリーニョと、それを容認しないクラブ側(主にアブラモビッチ氏)の対立が表立ってメディアに報じられる。
そして、アブラモビッチ氏との確執が原因?で、4年目を迎えることなくチェルシー監督辞任、というか解任。チェルシー監督在籍は3年。
1年間のお休みを頂いたモウリーニョは、インテル監督に就任。
08-09シーズン2冠(セリエA、スーペルコッパ・イタリアーナ)
09-10シーズン3冠(セリエA、コッパ・イタリア、UEFAチャンピオンズリーグ)
イタリア初のシーズン3冠を果たした後、モウリーニョはインテル監督を辞任することを決断する。インテル監督在籍は2年。
インテル監督辞任から3日後、モウリーニョは、レアル・マドリード監督に就任する。
10-11シーズン1冠(コパ・デル・レイ)
11-12シーズン1冠(リーガ・エスパニョーラ)
12-13シーズン1冠(スーペルコパ)
レアル・マドリード時代のモウリーニョは、非常に苦しかった。
選手起用による、選手との不仲が噂された。
これまでのモウリーニョで考えられなかったことが、レアル監督時代にたくさん起きた。
なかでも、モウリーニョがメディアを通して世間を挑発する行為は以前からあったこと。
しかし、それは選手を守るためであり、より良い結果を残すための手段だった。
スペインでは、そのやり方があらぬ誤解を生み、チーム内外で敵を作るきっかけとなってしまった。
特に、レアルの生え抜きであるGKカシージャスを敵に回してしまったのは、モウリーニョにとって誤算だったに違いない。
選手はカシージャスに同調するものが多く、モウリーニョは孤立無援状態に。
そして、モウリーニョはレアル・マドリード監督を去ることに。レアル監督在籍は3年。
(※レアル・マドリード会長であるフロレンティーノ・ペレスは、12年で10人も監督を代えてしまう、彼もまた我慢できない男の1人)
モウリーニョが3年以上、同じクラブで指揮をとったことがないという事実。
これが”監督3年”のジンクスと言われる所以。
モウリーニョが3年を我慢できないのか。
それとも、クラブ側(アブラモビッチ氏、ペレス氏を含むフロント陣営)が3年を我慢できないのか。
そして今季、モウリーニョ政権2期目の3年目シーズン。
モウリーニョ本人は、チェルシーでの長期政権を希望しており、これまでの短期政権にはならないと個人的には思っていた、開幕前までは。
しかし、今季リーグ11試合を戦って、15位という成績は、11-12シーズンに欧州CL決勝でバイエルン・ミュンヘンを破り、CL優勝を果たしてから少しは穏やかになったと思われるアブラモビッチ氏もさすがに黙っていないだろう。
11月4日には欧州CLのディナモ・キエフ戦をホームで戦い、7日にはアウェイでストークとのリーグ戦が待っている。
モウリーニョは、そしてアブラモビッチ氏は、この辛い時期を我慢することができるのか。
似た者同士の2人から、今後も目が離せない。
https://youtu.be/mADb52WLgTM
出典:YouTube