「世界で最も不運なプレーヤー」「シルバーコレクター」などの不名誉な通称を持つ男、ミヒャエル・バラック。バイエルンやチェルシーではリーグ優勝などの経歴はあるものの、国際タイトルには全く縁の無いプレーヤー。
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縁が無い訳ではない。彼は国際タイトルやビッグタイトルを争う試合では全て「2位」なのだ。彼が「シルバーコレクター」と言われる所以である。では実際にその功績を見ていただこう。
2001-02 ブンデスリーガ2位(レヴァークーゼン) DFBポカール準優勝(レヴァークーゼン) UEFAチャンピオンズリーグ準優勝(レヴァークーゼン) 2002日韓ワールドカップ準優勝(ドイツ代表)
2007-08 プレミアリーグ2位(チェルシー) カーリングカップ準優勝(チェルシー) UEFAチャンピオンズリーグ準優勝(チェルシー) EURO2008準優勝(ドイツ代表)
このように、2度の「シルバー4冠」を達成したバラックをドイツのメディアは「ewige Zweite(永遠の2位)」などという風にバラックを呼び、以後、それはまるで肩書きのように、常に彼にまとわりついた。不運はこれだけにとどまらない。
01-02チャンピオンズリーグ決勝は、ジダン擁するあの「銀河系軍団」レアル・マドリード。その決勝点は皆さんもご存知であろうジダンのあの左足スーパーボレーだ。サッカー界の歴史上最も素晴らしいゴールとされるのを決められてしまった。しかも、あのときジダンのマークについていたのはバラックだった。バラックは目の前であのゴールを決められてしまったのだ。
2002日韓ワールドカップでは、キャプテンとしてグループリーグからチームを牽引。バラックの活躍もあり、決勝に進んだものの、準決勝で自身がイエローカードをもらい、決勝には累積警告で出場できず。
08-09チャンピオンズリーグ準決勝バルセロナ戦2nd legではトム・ヘニンク・エブレベ主審の酷いジャッジに泣かされた。チェルシーは2本の明らかなPKを取ってもらえず、イニエスタの終了間際のゴールでバルセロナが決勝進出を果たした。その際にバラックが主審を追い回したのは有名な話。
2010年南アフリカワールドカップではドイツ代表を本大会出場に導く活躍をしていたものの、当時ポーツマスに所属していたケヴィン=プリンス・ボアテング(現シャルケ04)が食らわせた悪質なファールがバラックから本大会出場の望みを奪った。
そして2010年に復帰したレヴァークーゼンでは、チーム不振の原因とされ、最後はチームのフロントと対立。後味の悪い形でレヴァークーゼン退団となった。このまま彼はどこのチームにも所属しないまま引退を発表。彼らしい?華のない引退の仕方となった。
しかし、「シルバーコレクター」とはいえ、彼がドイツサッカー史において最高のプレーヤーであることに疑いの余地はない。記録ではなく記憶に残るプレーヤーであるバラック。ファンの記憶に残り、愛されるプレーヤーであるバラックは実は「世界で最も幸運なプレーヤー」なのかもしれない。
http://youtu.be/ur3eWr7IgzY